最近、いろいろな場面でChatGPTを使う人が増えている。そこで、ChatGPTの最近の進歩を試してみた。
2年前の3月に、ChatGPTにいくつかの質問を入力して試してみたことがある。今回は、そのうちの二つの質問を、当時と同じくChatGPTに入力してみた。
まずは、事実について聞いたときに、正しい答えを返してくるかのテスト。果たしてChatGPTは、正しい答えを導くのか ・・・?
質問はこちら(↓)。
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【質問1】土家由岐雄という児童文学作家について教えて
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この土家由岐雄は自分の祖父で、wikipediaに掲載されている児童文学作家だ。2年前にAIが出力した答えは、以下の通り。
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土家由岐雄は、日本の児童文学作家です。1928年に生まれ、1992年に亡くなりました。東京教育大学(現・筑波大学)卒業後、小学校教員を経て、1959年に児童文学作家としてデビューしました。
代表作には、「ぼくはマンボウを食べたかった」、「ちびっこ捕虫師」、「五右衛門」などがあります。彼の作品は、自然や動物、そして子どもたちが直面する問題などをテーマにしています。また、彼は写真も撮影しており、自身の作品に写真を使用することもありました。
彼は、1970年に「五右衛門」で読売児童文学賞を受賞し、1983年には「にんじん」でメルヘン・童話大賞を受賞しました。また、1988年には、日本児童文学者協会賞を受賞しています。
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・・・ いやいやいやいや!なんだよこの適当な答え・・・ 生年・没年・学歴・職歴・作品名・受賞歴、どれも全部まったく違うってば。驚くほど100%嘘の答えだ。「ぼくはマンボウを食べたかった」「ちびっこ捕虫師」「五右衛門」」ってなんだよ ・・・ そんな本、うちのじーさんは書いてませんってば。つまり、2年前のChatGPTのレベルから導き出された答えは、
「ChatGPTは、嘘の情報を平然と吐き出す」
だった。まぁそんなもんだよな、と当時は思っていた。しかし今回、ChatGPTに同じ質問を投げかけたところ、正確な情報をより詳しくまとめた答え(中身は100%正しい)を出力してきた。おーーー、これはすごい。
ちなみに、2年前も現在も、祖父に関するwikipediaの記述内容は変わっていない。また、(亡くなってから20年以上も経っているので)web上に祖父に関する新しい情報が増えているとも思えない。つまり、ChatGPTの出力内容や精度の差は、そのままChatGPTの性能の差によるものになると思う。
次の質問はこちら(↓)。
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【質問2】次のキーワードを使って、新しい小説の内容を考えて(キーワード:山小屋、宇宙人、猫、海底都市)
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ChatGPTは、この手の創造力が試される仕事は得意だ。この質問に対して、2年前のChatGPTはこんな答えを出してきた。
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主人公の女性は、仕事で疲れた日に山小屋に立ち寄りました。そこで、宇宙人と出会います。宇宙人は、地球に来た目的を話し、女性に協力を求めます。彼らは、地球外の海底都市に住んでいる猫の種族を救うために、地球の特定の場所にある水晶を探す必要があります。女性は、宇宙人と一緒に、水晶を探しに旅に出ます。彼らは、山や海、都市を巡り、さまざまな試練に立ち向かいます。途中で、女性は、宇宙人が人間の形をした猫型生命体であることを知ります。彼女は、宇宙人たちが持つ力や知識、そして猫たちとの触れ合いを通じて、自分自身も成長していくのでした。最後に、彼らは水晶を手に入れ、海底都市にたどり着きます。そこで、猫たちを救うために、彼らは決定的な行動を起こします。その後、女性は宇宙人たちと別れ、自分の日常に戻りますが、彼女の心は変わっていました。
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たったこれだけだった。短い。。。でもまぁ、展開はいまいちだけど、それっぽい答えを出力していた。
それに対して、ChatGPTに今回も同じ質問を投げかけたところ、かなり長めのしっかりとした答えを出力してきた。その答えはこちら(↓)。
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タイトル:『星の猫と海底の秘密』
【舞台】
物語は、山奥の小さな山小屋と、近未来の海底都市を舞台に繰り広げられます。
【物語の始まり】
主人公の美咲は、心の整理をつけるために、都会の喧騒から離れて山小屋に滞在することに決めた。山の中の静かな場所で、ただひたすらに自分と向き合おうと思ったのだ。しかし、山小屋には奇妙な出来事が次々と起こり始める。
その山小屋の前に、ひとりの宇宙人が現れる。名をゼオと言い、彼は地球に訪れた理由を美咲に告げる。「私は、君に未来の秘密を託しに来た」と言い、さらに語り始める。
ゼオが地球に来たのは、太古から存在する「海底都市」に隠された秘密を探し出すため。そこには、宇宙と地球を繋ぐ力を持つ「古代の遺物」が眠っているという。
【謎の猫】
山小屋の外で出会った不思議な猫。この猫、名前は「リル」。どうもただの猫ではないらしく、ゼオによれば、この猫は海底都市への道を知っている存在だという。しかし、リルは言葉を話さず、美咲に不安を与えながらも、時折「何か」を伝えるような動きを見せる。
【物語の展開】
ゼオと美咲は、リルを連れて海底都市へと向かう決意をする。リルが導く先には、山小屋から遥かに遠い、深海の底に広がる神秘的な都市が待っていた。都市の中には、失われた文明と、宇宙と地球を繋ぐ「扉」が存在していた。
ゼオはこの「扉」を開ける鍵を持っているが、その鍵を完全に開放するには、美咲が持つ意外な能力が必要であることが明らかになる。それは、美咲の心に潜む「過去の記憶」とも関係しており、彼女の出生の秘密が鍵を握っているのだった。
【クライマックス】
海底都市の中心で、ゼオと美咲は「扉」の前に立つ。しかし、扉を開けるには、犠牲を払うことを決断しなければならない。そして、リルが最後の秘密を暴露する。実は、リルこそがその「鍵」の一部であり、猫の姿である理由も、過去に地球に訪れた異星人の後継者として送り込まれたからだという。
美咲が扉を開けることで、地球と宇宙のバランスが崩れかけるが、彼女の選択によって運命は変わり、最終的には新たな未来へとつながる。
【テーマとメッセージ】
○ 過去と未来のつながり:人間は時として過去を忘れがちだが、過去の選択が未来に影響を与えることを示唆。
○ 異文化と共生:地球外生命体との交流を通じて、異なる文化や価値観を受け入れる重要性。
○ 心の成長:美咲の内面的な成長と自己発見の物語。
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おーーー ・・・・・・。まぁ、細かい突っ込みどころはまだまだあるけれど、同じChatGPTとは思えないほど性能がだいぶ進化している。
さらに、ChatGPTの5.2やPro版を使って対話形式で使いこむと、もっと完璧な小説の文章を出力してくれる。自分で使う分には、面白いしとてもすごい。
ちなみに、最近のChatGPTの性能は本当にすさまじい。試しに、東大をはじめ、さまざまな大学の化学の入試問題を「画像として(=文章の入力ではなく)」読み込ませてみたところ、あっというまに100点の解答をたたき出してきた。
すごいなぁ ・・・ 本当にすごい技術革新だと思う。
ただし、教員としての立場で考えると、やはりいろいろと危惧してしまう。ここまで進化したAIを活用されてしまうと、学生たちにどんなに課題を出したところで、学力を正確に測ることはおそらくほぼ不可能になってしまっている。最近では、ページ数が多い書類(PDFファイル)をAIがあっという間に要約してくれるし、動画ファイルの音声だけを抜き出して概要を作ることもAIにはお手のものだったりする。オンライン講義やオンデマンド配信講義の教育効果の限界がここにある。
個人的には、AIを仕事や勉強に活用することは良いことである、と思っている。ただし、「良い」の大前提は、
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● 自分の勉強のためにも、学校の宿題や課題を『最後まで』解かせることには使わない
● AIが出力した情報に対して『+α』の補正・追加ができる人や、AIの出力した嘘情報を見抜くことができる人が使う場合に限る
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ということだ。しかし、他大学の先生と話すときにたまに話題になるけれど、この「+α」の補正をまったくせずに、AIの出力結果を(間違っていることに気付かずに)そのまま使っている学生がどこの大学でも最近多いようだ。
例えば、Google翻訳やDeepLを用いて英文を作ろうとしても、「出力された英語が適切か」を吟味するためには、その人に「しっかりとした英語力」が必要になる。さらに言うなら、正しい英語の出力結果を得るためには「文法的に正しい日本語を入力する」ことが大前提だ。結局、「基礎力がしっかりした人」になっておかないと、本当の意味でAIは使いこなせないと思う。
というわけで、ChatGPTやらGoogle翻訳やらDeepLなどを使っている学生さんたちは、自分の基礎力を高めることを忘れないように心がけながら、この便利なツールを使いこなしてくださいな。