日々の逃避

ある大学教員の単なる独り言です。研究室を立ち上げた2006年10月からずっと書いています。

「実験医学」で連載の執筆を始めます。


この雑誌、ご存じですか?医学・生物系の人にとってはよく知られた雑誌だけど、化学系の人にはなじみは無いだろうなぁ。実はこの雑誌で、最新の研究トピックスの紹介した解説を執筆することになった。しかも今回だけの単発ではなく、ほぼ連載で。年4回ほど執筆する予定。今日はその経緯を。

自分は以前より、羊土社との関わりが深い。羊土社は、バイオサイエンスや医学系の本を多く出版している大手出版社だ。R研でポスドクをしていた2002年ごろ、羊土社の「BIOベンチャー」(当時)という雑誌から、ナノバイオ特集において解説文を執筆して欲しいという依頼が届いた。当時の上司だったMd先生と連名で執筆して、ナノバイオに関する概論(巻頭言的な文章)を4ページ執筆した。これが羊土社と関わり始めたきっかけだ。

その数週間後に、編集担当者から「リズミが良くて非常に読みやすい文章だった」とお褒め頂き、「この雑誌の中で、若手が執筆するエッセイのコーナーを作りたいから、ぜひ連載をお願いしたい」と依頼された。これが、その後3年以上にわたるエッセイの連載が始まったきっかけ。とにかく、「雑誌に連載」という響きが嬉しかった記憶がある。ネタは、身の回りの話題が中心だったな。自分が興味を持った社会学やら心理学やらの専門外の論文をからめたりしながら、身の回りのできごとをつづった。祖父が童話作家をしていたことも遺伝的に関係するかもしれないけど、今でもとにかく文章を書くのが好きだ(だからこのブログも書いているわけだけど)。個人的には、いい経験だったと思っている。

そのエッセイが好評だったらしく、今度も同じ雑誌において、研究トピックス紹介コーナーで解説を連載執筆するように依頼されたのが2005年1月だ。一つの雑誌に二つも連載コーナーを持たせて頂いて、ありがたいような責任重大なような仕事が増えて大変そうな・・・・・・微妙な気分になったことを覚えている。あと、この雑誌は原稿料がちょっと高かったから、それも嬉しかったな。研究トピックスの連載も、3年間にわたって続けさせて頂いた。途中で、「BIOベンチャー」は「バイオテクノロジージャーナル」と誌名を変更していた。

自分にとって関係が深いそんな雑誌も、今年の1月より「実験医学」という雑誌と統合されて、消滅されてしまった。残念だけど、まぁ、仕方がない。そんな事情だったので、締切に追われていた数年間にわたる生活が終わり、ここ数ヶ月は比較的平穏な日々を送っていたわけだ。

でも今日、その統合した「実験医学」という雑誌の編集部から、研究トピックス紹介コーナーにおいて解説の連載を再び依頼された。基礎医学系の雑誌なので断ろうかとも一瞬思ったんだけど、今年からは応用面の話まで掲載する方針らしく、「医療に貢献する材料」という立場で研究する自分(工学系)が選ばれたらしい。必要とされるということは、非常に有り難いことなので、引き受けることにした。

というわけで、次号(?)より「実験医学」誌上で研究トピックス紹介コーナーを担当することになります。自分は3ヶ月に1回のペースで登場することになるのかな?何人かの先生と分担で。

とりあえず、海外発の最新の論文を中心に、材料と細胞が接する界面現象や細胞を乗せたデバイス、ドラッグデリバリーシステムのためのキャリヤー、腫瘍組織検出技術、生体内に埋め込む材料、遺伝子検出デバイス・・・・・・そんな「応用面」の話を、基礎系の雑誌である「実験医学」の読者の皆さまに提供できれば、と考えている。

このブログの読者は医学・生物系の人は少ないのかなぁ・・・・・・読者層がよく見えないからわからないけど。「実験医学」はわかりやすくて、個人的には好きな雑誌だ。

ところでみなさん、「実験医学」って読んだことありますか・・・・・・?